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B社はバブルが崩壊してから土地を購入したため、工場全体の簿価は50億円でした。
A社は生産効率がよく、また製品の販売も好調で儲かつており、使用価値(1使用価値>正昧売却価額」と仮定します)が90億円でした。 逆にB社は、A社に比べて生産効率がよくないのですが、簿価が低いため、第2段階の減損の判定の段階で割引前のキャッシュ・フローを計算した結果、減損なしという判定となりました。
減損がないと判定された場合、本来ならば使用価値まで調べる必要はありませんが、使用価値を算定したところ、40億円だったとします。 減損会計では、簿価の高いA社は200-90 = 110億円の減損損失を計上しなければなりません。
しかし、生産効率のよくないB社は簿価が低いため、減煩損失は生じません。 同じ面積、同じ人員で生産しているとした場合、減損会計では、簿価と回収可能価額(この場合は使用価値)との比較のため、現時点でー功ミにその資産を効率的に使って生産活動を行い、販売していたとしても、A社は「簿価>回収可能価額」であれば、減損損失を計上することとなるのです。
たまたま高い時期に買ったという事実は、現在の経営者には何の責任もないことですが、減損会計では現在の回収可能価額と比較するのはあくまでも簿価となり、現時点で減損損失を計上しなければなりません。 ここで、仮に、当該土地はマンション用地として適地であり、当該工場をマンションデベロッパーが80億円で購入したいと申し入れてきたとします。

マンションデベロッパーは同じ面積で同じ形状のA社の敷地とB社の敷地のどちらも値段は変わらず、ともに80億円を提示してきたとします。 A社、B社それぞれの企業は当該工場をどうすることが最適な活用方法となるでしょうか。
前述した合理的な判断をするとした場合には、A杜は80億円で売却するより保有し続けたほうがいいという結論となり、逆にB社は売却を選択した方が合理的な判断となると思われます。 同じ80億円の提示に対して、なぜ判断が異なるのでしょうか。
デベロッパーから提示された購入価格は当該工場の正昧売却価額であると考えられます。 A社の場合は、「使用価値(90億円)>正昧売却価額(80億円)」です。
A社は当該工場を売却して得られる価値80億円より、自社で使うことによる価値90億円のほうが上回っているため、将来的に自社で使うほうが高い価値を生み出せるといえます。 自社で使い続けて得られる価値の方が高いわけですから、このまま保有する意味があるのです。
当該資産は減損損失を計上しなければならない資産ですが、それは過去の取得価額が高かったということであり、現在は効率的な使用をしており、A社が使うことにより市場での評価である80億円以上の価値を生み出しているのです。 一方のB社は簿価が50億円で、使用価値は40億円、正昧売却価額は80億円のため、減損損失の計上の必要はありません。
しかし、自分で、使って得られる価値は40億円ですが、マンション用地としてデベロッパーは80億円という値段で購入してくれます。 自社で使って得られる価値よりも市場での価値が高いため、このようなケースでは今の使い方が最適と考えられるでしょうか。

この土地を売却して利益を確定し、同様の使用価値を得られる土地があれば移転したほうが当該企業にとっては効率的な使用方法と考えることもできます。 現実には、「使用価値<正昧売却価額」だからといって、すぐに売却できるケースは少ないと思われます。
移転先がすぐに見つかるとは限りませんし、また、現在の雇用の問題もあり、さらに、移転先の雇用の問題もあります。 ましてB社の場合には、含み損が出ているわけではなく、会計上は何ら問題が発生していないのですから、わざわざ、諸々の問題を抱え込んで、まで、移転を考える必要はあるのかと考えても無理はありません。
上記のケーススタディはかなり極端な考え方です。 通常、自社で所有している資産が簿価を大きく上回って含み益がある場合にはそれ以上の対策を考えないのが普通です。
しかし、一歩進めて、減損会計の考え方を取り入れ、自社の生み出すキャッシュ・フローからの評価より、外部の客観的な高い評価(=正味売却価額)を受けている資産があるのであれば、資産の効率的使用の観点からは、その対策を考えたほうがいいのではないでしょうか。 前述のとおり、減損会計では、減損対象資産の選別は、常に簿価と回収可能価額とを比較し、「簿価>回収可能価額(使用価値または正昧売却価額のどちらか大きい方)」 となっている資産があるかどうかをチェックする作業が行われます。
しかしながら、保有し続けることが企業にとって最適な選択股かどうかは、簿価との比較ではなく、使用価値と正味売却価額の両者での比較により決まってくると思われます。 減損会計の考え方を取り入れて、企業にとってその資産を保有することが最もよい選択肢かどうかをどのように判断すればよいでしょうか。
企業の保有する不動産を当該企業から見た重要度(使用価値で判断)、市場での評価(正昧売却価額で判断)の2つの観点から分類します。 この中で、最初に企業が保有の意味を検討しなければならない資産は、使用価値が低く、正昧売却価額が高い右下のの網かけの部分です。
この部分にある資産は企業の使用価値は低いにもかかわらず、市場での価値が高い資産だからです。 このような資産の典型的な例として都内住宅地にある工場などがあげられます。
かつては工場が立ち並ぶ地域であったものが、だんだん周囲から工場が撤退し、宅地化が進んできて、気がつくと周囲はみな住宅地になり、自社の工場だけが取り残されているというような敷地です。 マンション適地であれば、最近はデベロッパーが高い値段で買い取るという話をもってきているケースも少なくないと思われます。
さらにここで行われている事業の収益性があまり高くなく、使用価値をはじいてみたら、デベロッパーからの買取り価格の方が高い金額だった場合などです。 以前は「含み益経営」が企業にとってよい経営の見本であると考えられていましたので、その時代であれば保有し続けることが正しい選択でしたが、資産の効率的な運用が求められている今の時代においては、「市場価値(正昧売却価額)>使用価値」の場合のこの土地について企業にとって最適な利用を考えるのであれば、保有の意味を見直す必要があるのではないかと考えます。
次に検討すべき資産は、使用価値も売却したときの価値もともに高いにある資産です。 この場合はその企業が使って得られる価値と市場での評価が同程度に高い資産なので、会社にとっても判断が難しいところです。

さきほど例にあげた住宅地に固まれた工場において、そこで行われている事業が高収益を上げている場合がこれに該当すると思います。 この場合には、当該資産の将来性、当該事業の将来性を考え、将来的にも今の使用価値が引続き維持できるか、すなわち当該事業の将来性があるか、また、今後も市場価値の高い現在の場所で行うことが最良の選択肢なのかを考える必要があるかと思います。

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